どんな空気の店にしたいのか、どんなふうにお客様に喜んでもらいたいのか。

自分たちの理想や希望がはっきりすれば、この先もやっていける。

不器用なカレー食堂

bukiyo_book300晶文社
B6判ペーパーバック/288ページ+カラー8ページ
定価:本体1500円+税
978-4-7949-6883-8 C0095

装画:ミロコマチコ
口絵写真:増田智泰
編集協力:管聖子
装丁:矢萩多聞

Synopsis

夢はふたりのカレー屋を開くこと!
そのためだったら、どんな苦労だっていとわない。
理想の店づくりをめざして、自分たちの信じた道をいく。

東京・桜新町にある、不思議な存在感を放つ古い一軒家。
〈インドカレー食堂 砂の岬〉
昼夜を問わず、いつもたくさんの人で賑わっている。いま話題のカレー店は、どのように誕生し、運営しているのか?

カレーづくりを学ぶため、インド各地の食堂や家庭を巡ったころ。移動販売の日々と開業資金の確保するための計画。時間と手間を惜しまず自分たちの手で内装工事を行った店内。営業は週4日? 1年に3カ月はインドへ?

自らのスタイルを貫きながら、理想の味と心に残るサービスを追求する、インドとカレーに魅せられた夫婦のものがたり。

「あの味とおふたりのお人柄に何回救われたことか! 砂の岬はオアシスのようなところです。」
吉本ばなな

Profile

profile1鈴木克明(すずき・かつあき)
1978年3月静岡県生まれ
鈴木有紀(すずき・ゆき)
1982年7月大阪府生まれ

2007年、インド亜大陸を1年間かけてカレーを食べ歩き、帰国後、移動販売からスタート。2010年、夫婦で東京・世田谷の桜新町に「インドカレー食堂 砂の岬」を開業。現在も年に数回はインドへ赴き、各地の食堂・家庭で料理を学ぶ。

 

はじめに  継続するために僕らは店を閉める

東京・世田谷区。古くからの商店が並ぶおだやかな街に「砂の岬」はある。
僕らはカレー屋を経営しながら、年に数回インドへ行くため、1年のうち3カ月は店を閉める。
通常の営業は週4日。定休日は週3日。
働くことが嫌いなわけではない。
営業のない日も頭の中は、お店のことで埋め尽くされている。
僕らには、店を開きたくても開けない理由がある。
燃え尽きてしまいそうな僕らの生き方を、頼りないと心配する人もいる。
しかし、店を開いたことを後悔したことなど、一度もない。
なぜカレー屋なのか、どのようにして店を作ったのか、いまどんな暮らしをしているのか。
「砂の岬」という僕らの人生を、ちょっとだけ振り返ってみようと思う。

◎目次
1 インドカレーに出合うまで
楽しくも彷徨いの日々  カフェeffi  レコード屋になりたかった  レコード買い付けの旅  大阪で育って  歌を仕事にしたかった  アトリエのカフェ  ジャズクラブ  東京へ  アパレルの仕事  かけがえのない出合い  ビーガンレストラン  オープニングスタッフとして  スンダランドカフェの日々  代官山の家  インドで僕は何もできなかった  カレーの授業  もう一度インドに行きたい  畳1枚半の夢の空間

2 片道切符でインドへ
バナナの葉の上の小宇宙  ラトナカフェ  ママのターリー  僕を救ったコリアンダースープ  ネパールの定食  ラサへ  グルミット村の小さなチャイ屋  リゾン・ゴンパ  忘れてはいけない味  「生きている」という感覚  1通のメール  再会

3 移動販売カレー屋のはじまり
帰る場所がない  住み込みの仕事  スパイス号  移動販売カレー屋開業  値段の変更  営業停止!?  ようやく軌道にのってきた  カレーの部屋  わたしは会社勤め  ふたりでカレー屋  結婚

4 砂の岬ができるまで
蔦の絡まる一軒家  運命の出合い  オーナーは海の人  出費を削ることから  開業資金と内装工事  旅の途中にある食堂  時間と手間を惜しまぬ作業  テイクアウトの弁当から  再びインドへ  店内をオープンするために  ロゴマークができた

5 砂の岬の日々
本オープンの日  砂の岬のカレーメニュー  副菜マジック  チャイの味  期間限定スペシャルメニュー  フレッシュなカレーを出したい  メニューブックとホームページ  物販と店の空気  営業日について  ベストな状態でいること  ふたりの役割  定休日には何をしてるの  僕のカレー仲間  だれかのために作りたい  異国の宝物  2年目の冬

6 僕らがインドに行く理由
インド行きを決めるとき  旅のスケジュール  インドを食べ歩く  料理は出合いとタイミング  そして、料理を学ぶ  スパイスや食器の買い付け  雑貨探しの楽しみ  大きな都市から小さな村へ  旅の仕方  郷に従うこと  旅先の服装  インドのコーヒー  山あいの町  大切な場所  店から生まれるものがたり